親戚中で末っ子だった私は、見事な末っ子を演じること。
『金魚鉢の中の少女』という舞台を観てきました。
時代は1962年10月。
世界は核抑止力という危ういバランスで保たれていたが
キューバ危機によりそのバランスが崩れようとしていた。
その時、カナダの海辺の田舎町でも、
ある家族のバランスが崩れようとしていた。
かつては下宿屋を営んでいたその家。
そこに住むませた少女アイリスの母シルビアは、
父オーエンを見限って家を出て行こうとしている。
そんなある日、
アイリスが飼っていた金魚アマールが死んでしまった。
母はその日に出ていくことを決意するが
出掛けにつまずき手首の骨を折り、断念する。
同じ日の夜、
アイリスはずぶ濡れの男を浜辺から拾ってくる。
男の名はローレンス。
アイリスはずぶ濡れのこの男が
我が家の崩れかけたバランスを救うためにやってきた
アマールの生まれ変わりだと確信する。
バランスの崩れかけた家族は
ローレンスの出現によって一時的に保たれるが、、、
これは、モーリス・パニッチという
カナダの有名な作家が書いた作品。
実は『あわれ―』で兄役を演じた田中壮太郎さんが
翻訳し演出していました。
ブラックユーモアにたけたこの作品。
基本的にシュールなギャグで物語は展開していくのですが
思いの外、悲しい結末に言葉を失いました。
良いか悪いかではなく、この作品を書いた作家、
そしてそれを翻訳して日本で上演しようと思った
壮太郎さんに感服しました。
この喪失感は役者としては悔しいですが、
作品としては素晴らしかったのだと素直に思います。
そして、アイリスの家族の様に
何もかもが変わり続ける日々に
私はこの先ついて…いや越えて行けるのだろうか…。
アイリスは言っていました。
『父は物事がこれまで通りであることを望んでいる。
でもそうあったためしがある?』と。
皆さんは子どものころ、何に夢中になりましたか?